「金融リテラシーが高い社員でも知らなかった」
170名規模のAIスタートアップが企業型DCを導入して気づいたこと
こんな方に読んでほしい記事です
- 東京のスタートアップ・IT企業で、企業型DCを「自社にはまだ早い・関係ない」と思っている方
- 金融リテラシーが高い社員が多いものの、福利厚生としてのDC導入を未検討の方
- 取締役会や投資家への説明・調整など、導入手続きにハードルを感じている方
- 組織の急拡大に伴い、導入後の運用負荷や説明コストを懸念している方
会社紹介
ストックマーク株式会社
生成AI・自然言語処理技術を活用して企業のDX推進・R&D支援を行う、日本のAIスタートアップ。
| 従業員数 | 約170名(導入時約80名から急成長中) |
|---|---|
| 導入時期 | 2026年3月 |
| インタビュー対応者 | コーポレート部門 小田垣様 |
| ウェブサイト |
導入前の状況──「企業型DCは大企業のもの」という思い込み
小田垣様は公認会計士として監査法人で7年のキャリアを積み、不動産テックベンチャーでの経理マネージャーとして子会社PMIや税務プランニングを含む財務戦略全般まで幅広く経験された財務のプロフェッショナルです。個人でも「つみたてNISA」や「iDeCo」を活用するほど高い金融リテラシーをお持ちですが、企業型DCに関しては「ノーマークだった」と語ります。
「これまで多様なスキームや財務施策を精査してきましたが、従業員向けの福利厚生として企業型DCを導入するという視点は持ち合わせていませんでした。個人の資産形成は実践していても、企業の制度としてのDCは盲点でしたね」(小田垣様)
IT・スタートアップ業界では、規模を問わず企業型DCの認知や検討がまだ進んでいないのが現状です。
導入時の山場──取締役会への丁寧な説明と社内合意形成
導入プロセスで最も注力したのが、就業規則改定に伴う取締役会への説明準備でした。事前に定量的な数値根拠を整理し、事前対話を重ねたことでスムーズな承認に至りました。
「取締役会への説明準備には最も丁寧な対応を要しました。しかし、経済的合理性や中長期的なメリットを定量的に提示したことで、前向きな理解を得ることができました」(小田垣様)
一方で、導入後の社内説明会では「手取り金額の変化」に対する懸念の声も上がったと言います。
「掛金拠出の仕組みについての理解が十分でなく、『給与の額面が変わったのでは』と不安を感じる社員もいました。手数料や制度の詳細についての質問も多く寄せられましたが、長期的な資産形成の意義を根気強く伝え、着実に導入を進めました」(小田垣様)
金融リテラシーが高い社員が多い環境であっても、制度理解の深さには個人差があります。丁寧な社内コミュニケーションの重要性は、どのような企業でも共通の課題と言えます。
導入後の変化──副次的な財務メリットの発見
導入に向けたシミュレーションを行う中で、メイン目的である「長期的な資産形成支援」に加えて、副次的なメリットも見えてきました。
「10年・20年の資産形成が第一の目的ですが、シミュレーションを通じて財務面での副次的な効果も見込めることが分かったのは、嬉しい発見でした」(小田垣様)
運用上のリアル──急成長企業における継続的な制度運用の課題
組織が急速に拡大する中で、実務上の課題も明確になりました。
現在感じている運用の課題
- 事業拡大に伴う毎月の入退社対応(掛金設定・手続き等の労務負荷)
- 新入社員への継続的な制度説明コスト
- 社内ポータル(Notion等)における最新情報の整理と検索性の維持
現在の対応策と今後の取り組み
- 労務専属担当を1名採用し、体制を強化
- 週次の全社ミーティングやSlackを活用した定期的な周知
- AIを活用したセルフ解決型サポート体系の検討
- 入社時オリエンテーション用のドキュメント整備
「従業員が疑問を持った際に、自身でスムーズに解決できる仕組みづくりを目指しています」(小田垣様)
REKOTAへの評価
「導入対応には非常に満足しています。むしろ弊社側の社内調整に時間を要した場面があったほどです。相見積もりによる比較検討でも費用感の妥当性を確認できましたし、担当者の方が非常に細やかに質疑応答に対応してくださったため、全体を通してスムーズに進行できました」(小田垣様)
今後に期待すること──「退職金制度がないからこそ、金融教育を」
小田垣様が今後REKOTAに最も期待しているのは、従業員向けの「金融教育サポート」です。
「退職金制度を設けていない企業だからこそ、将来に向けた自立的な資産形成支援が不可欠です。65歳までの資金拘束といったDC特有のルールについても、長期投資の観点から正しい理解を促す研修などを期待しています」(小田垣様)
一部の役員・幹部層だけでなく、全従業員にとって安心できる中長期の資産形成手段を提供したいという強い思いがあります。
「短期的な手当の充実に留まらず、将来に向けた資産形成機会を提供することの意義は非常に大きいと感じています。20年、30年後に安心できる資産基盤があることは、働くうえでの大きな安心感につながるはずです」(小田垣様)
まとめ──「制度を知らないこと」が最大のリスク
公認会計士であり財務のプロフェッショナルであっても、制度の存在や具体的なメリットを「知らなかった」というケースは少なくありません。知らずに機会を逃し続けることこそが、企業にとっても従業員にとっても最大の損失になり得ます。
企業型DCの導入をご検討中の企業様へ
制度設計から社内説明、導入後の運用フォローまで伴走いたします。